7.07.2014

IVA Reading: Chapter 02, Section 04 Exercises

IVA読書会 chap02-sect04 宿題

 

No.5

問題:
単項イデアル $I=\langle x^\alpha:\alpha \in A\rangle$ について、発生しうる全ての指数の組の集合を $S$ とする。
どのような単項式順序 $\gt$ に対しても、$S$ の最小の要素が $A$ に含まれることを示せ。

 

単項式順序は、その定義(2章§2 定義1)から整列順序であるから、任意の空でない単項式の集合は最小元を持つ。

$\alpha \in S$ から $S$ は空集合でないので、ただ一つの最小元を持つ。これを $\gamma \in S$ とする。

このとき、$S$ の定義から $x^\gamma \in I$ であるため、補題2 より $x^\gamma$ は $x^\alpha$ で割り切れ、適当な $\beta \in \mathbb{Z}^n_{\ge 0}$ を取って $x^\alpha x^\beta = x^\gamma$ が成立する。

従って、$\alpha + \beta = \gamma \in S$

$\gamma$ は $S$ の最小元であるため、$\beta = 0, \gamma = \alpha \in A$

 

No.11

a)

Exercise2-4-12.pdf を参考に解いた。

問題:
系6 を使って、ウェイト順序 ${\gt}_{\bf u}$ が単項式順序であることを示せ
(ヒント: $u_1, \ldots ,u_n$ が線形独立であるという条件をどこで利用するか?)

単項式順序の定義に従って示す。

i) 全順序性について
${\bf u} \in \mathbb{R}^n_{\gt 0}$, $\alpha, \beta \in \mathbb{Z}^n_{\ge 0}$ より、 ${\bf u} \cdot \alpha, {\bf u} \cdot \beta \in \mathbb{R}^n_{\ge 0}$

従って、


  • ${\bf u} \cdot \alpha > {\bf u} \cdot \beta $
  • ${\bf u} \cdot \alpha = {\bf u} \cdot \beta $
  • ${\bf u} \cdot \alpha < {\bf u} \cdot \beta $

のいずれか 1つのみが成り立つ。
これらはそれぞれ $\alpha {\gt}_{\bf u} \beta$, $\alpha {=}_{\bf u} \beta$, $\alpha {\lt}_{\bf u} \beta$ に対応するので、${\gt}_{\bf u}$ は全順序である。

ii) 和による順序の保存について
$\alpha {\gt}_{\bf u} \beta, \gamma \in \mathbb{Z}^n_{\ge 0}$ とする。

${\bf u}\cdot(\alpha + \gamma) = {\bf u}\cdot \alpha + {\bf u}\cdot \gamma$ より、${\bf u}\cdot \alpha {\gt} {\bf u}\cdot \beta \Rightarrow {\bf u}\cdot(\alpha + \gamma) {\gt} {\bf u}\cdot(\beta + \gamma)$
となるので $\alpha + \gamma {\gt}_{\bf u} \beta + \gamma$ が示せた。

iii) 整列順序性について
${\bf u}$ は正、かつ $\mathbb{Q}$ 上で線形独立であるため、${\bf u}\cdot \alpha = 0$ となる $\alpha \in \mathbb{Z}^n_{\ge 0}$ は $0$ だけである。
従って
$\alpha = 0 \Leftrightarrow {\bf u}\cdot \alpha = 0 \\ \alpha \ne 0 \Leftrightarrow {\bf u}\cdot \alpha > 0$
が成り立つ。

これにより $\forall \alpha \in \mathbb{Z}^n_{\ge 0}, \alpha \ge_{\bf u} 0$ が示せたので、系6 より、$\gt_{\bf u}$ は整列順序である。

b)

$(1, \sqrt 2)$ が有理数体上で線形独立であることを示す。

$a \cdot 1 + b \cdot \sqrt 2 = 0$ を満たす $a,b \in \mathbb{Q}$ を考える。

この場合、$a = -b \sqrt 2$ と変形可能で、これは $a = b = 0$ の場合にのみ成立する。

従って $(1, \sqrt 2)$ は有理数体上で線形独立。

 

c)

$(1, \sqrt 2, \sqrt 3)$ が有理数体上で線形独立であることを示す。

$a \cdot 1 + b \cdot \sqrt 2 + c \cdot \sqrt 3= 0$ を満たす $a,b,c \in \mathbb{Q}$ を考える。

$$\begin{eqnarray*} & a + b\sqrt 2 + c\sqrt 3 &=& 0 \\ \Leftrightarrow & a + b\sqrt 2 &=& -c\sqrt 3 \\ \Rightarrow & a^2 + 2ab\sqrt 2 + 2b^2 &=& 3c^2 \\ \Leftrightarrow & 2\sqrt 2 \cdot ab &=& 3c^2 - a^2 - 2b^2 \\ \Rightarrow & ab &=& 0 \\ \Leftrightarrow & a = 0 \text{ or } b = 0 \end {eqnarray*}$$

$a=0$ の場合、$b\sqrt 2 + c\sqrt 3 = 0 \Leftrightarrow b = -c\sqrt{\frac{3}{2}} \Rightarrow b = c = 0$

$b=0$ の場合、$a + c\sqrt 3 = 0 \Leftrightarrow a = -c\sqrt 3 \Rightarrow a = c = 0$

以上より、$a \cdot 1 + b \cdot \sqrt 2 + c \cdot \sqrt 3= 0 \Rightarrow a = b = c = 0$

従って $(1, \sqrt 2, \sqrt 3)$ は有理数体上で線形独立。

 

References

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